永遠の冬 藤原龍一郎

  • 投稿日:2013年01月18日
  • カテゴリー:短歌


永遠の冬

窓枠に嵌め殺されているガラス雨の日雨の涙をながす

リビングデッドさながら冬の陽だまりでサプリ飲みほす喉のさびしさ

norovirusに弄ばれて嘔吐するわが死の後も水仙匂う

それもまた快楽なるか集団に遅れ画面を消え行く走者

美しき国より強き国なれと急ぐ夜空にベテルギウス暗紅

戦争を知らぬ宰相微笑むをヤマダ電機の液晶に見る

駅前に電話ボックスあることを今さら気づき 脱出すべし

困難な時代思うたやすさを人身事故のホーム混雑

永遠の冬それゆえの悪寒とも風邪とも知らぬ あの…観覧車

終電を降りればマクドナルド潮見店に夜更けの人々居りたり幾夜

作者紹介

  • 藤原龍一郎(ふじわら りゅういちろう)

1952年福岡生れ。
1972年「短歌人」会入会
現在、編集人
1990年第33回「短歌研究」新人賞受賞
歌集に『夢みる頃を過ぎても』『JADA』他。

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