日めくり詩歌 短歌 藤原龍一郎

乾パンに咽びて水を流し込む今日を生き抜くそれだけのため

岩手県 小田わか 4月18日読売歌壇 栗木京子特選


 避難所での食事の状況か。非常食の乾パンと水だけが配給されたというわけなのだろう。これを食べておかなければ、明日を迎えられない。「今日を生き抜く」という表現に、異様なリアリティーがある。もう一首入選歌を紹介する。「明日もまた早朝給水に並ぶべし小さき犬を抱きて眠る」。桜川市の友常満里子さんの歌。地震による断水が起こったのだろう。「仔犬の温もりから力をもらいたいという気持ちがよくわかる。」という選者の評が核心を突いている。

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