日めくり詩歌 短歌 藤原龍一郎 (2011/6/23)

絶えまない地震なゐにゆられつあかき目のおんなじ貌でむすび食ひたり

南相馬市 児玉邦一 4月18日毎日歌壇 米川千嘉子特選


 水曜日に紹介した歌は乾パンだったが、こちらはおむすびを食べている光景。余震で不眠になり、目は赤く、恐怖と不安にこわばった表情になっているのであろう。重苦しい避難所の空気と、冷え冷えとした感触が伝わってくる。米川千嘉子選者の第二席入選作は「国道を歩いていたら三回も聞かれた安置所のスポーツセンター」という岩手の奈瀬万由美さんの歌。こちらは、凄絶な事実をあえて軽い文体で表現している。そこに悲惨さが硬直している。

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