日めくり詩歌 俳句 高山れおな (2012/02/24)

六十六番 震災句集

幾万の雛わだつみを漂へる 長谷川櫂

にんげんの鱗の乾く震災忌 角川春樹

長谷川櫂の『震災句集』(二〇一二年一月二五日 中央公論新社)については、関悦史や島田牙城がツイッターで批判的な呟きを漏らしていたし、誰より当サイトの俳句時評で外山一機が正鵠を射た批評を行なっていた。しかし、これに先行する角川春樹の『震災句集 白い戦場』(二〇一一年一〇月一八日 文學の森)については、特に誰も発言していなかったように思うのだが、単なる当方の見落としだろうか。あるいは、今さら角川春樹に対して「羞恥について」でもあるまいという抑制が働いてなのか、単に存在が知られていないだけなのか。

実際のところ角川春樹はもはや、何をしても何も言われない人というカテゴリーに入っていると思うのだが、長谷川櫂についてもこの際、春樹同様の“殿堂入り”が認められてよいような気がする。掲出両句はともかくもこちらの気持ちにひっかかり(悪い意味でなく)を感じさせた句ということで選んだ。殿堂入りの上は勝負はなしである。

作者紹介

  • 長谷川櫂(はせがわ・かい)

一九五四年生まれ。

  • 角川春樹(かどかわ・はるき)

一九四二年生まれ。

タグ: , ,

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress