終末論系大雷雨のまなつかな 玉野 勇希
こはれゐる薔薇から順にうｐします まなつまひるの凪ぐダーク・ウェブ
解釈はなんとほりもある [Enter][Enter][Enter] 検索してはいけないワード
一万円は塚本、五千円は中井英夫、千円はうちの猫にしませう
診察券ばかり財布に貯まりけり
amazonでピアス・ニードルかふ もつと献身的な冷笑をしよう
切花を花瓶に挿してせんそうにつながつてるらしぼくのぺにすも
何冊も詩集が積まれた寝室は風紀委員に咎めてほしい……アラベスク
こんなにも人がきらひです シャワーゆひどくつめたい針を裸身にあつめて
赤錆に病めるかはほり傘連れる
17アイスなら推しはチョコミント、あるいは戴冠せるアナキスト
くそきたねえ川にあを鷺ゆつくりと女児が女児服きてわたる橋
「いやほんと鬱です」といふイヤホンとこゑひびきけり 廃墟のラブホ
世界くづるるやうな雷鳴聴きゐつつマイブラの音量をあげてゆく
えぐすぎる雨がアスファルトを殴る 殴りかへせよ埼玉県も
ジュンク堂池袋本店 三首
『〇〇の哲学』みたいな一般書ばつかおいてる一階のとこ
外文の新刊売り場のコーナーが文具売り場にかはつてゐたり
人文書売り場の階のトイレにて実存主義的排泄をする
診察券挟み歌集は黙したり
雨滴。指の先に棲みつくおほつぶの雨滴のやうなジェル・ネイルかな
ほんたうの雨や雷なんですか 瞼へ頬へみづがつたひぬ
玉野勇希/Yuki TAMANO
短詩作家(tanka/Haiku Poet)｜「崩壊系列」「翅」所属
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