夜 岡田ユアン


夜 岡田ユアン

窓から夜を覗くと 
夜もこちらを覗いている 
 
目をあわせ 黙りあい 
静かな夜は続いた 
 
やがて 夜がゆっくり 
まばたきすると 
私もつられて 目をとじる 
 
夜は片方の目を探して 
さまよっている 
私も何かを探しに 
夜を覗いたのだが 
気づけば 夜の後をついてきている 
 
風はサービス精神旺盛に 
夜の衣装を変えてゆく 
私は魅了されるばかりで 
 
とどまり続けることのない夜に 
気後れしながら 
なおも対峙する 
 
私と夜の軌道は 
幾千夜かわらずに 
同心円上をまわっているよう 
 
縮むことのない距離を 
もどかしく思いながら 
どこか安堵していたり 
いつの時代も 似たような感覚を抱きながら 
一人 夜に立っていた気がする 
 
そして 馴染みの距離を保ちながら 
夜はやさしく消えてゆく

タグ: None

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress