白日 05/22 田野倉康一
いない方がいい
そんなひとになりたい
そんなひとになれば
もちろん
いなくてもいい
菜の花が不自然なほどに
咲き誇っている早春の野づらに
吹く風のように
すべてを放り出して
かろやかな絶望に
ひたされた日々の充足と
論理の
間隙をついてはみだしてゆくもの
今は亡き日常の欠片となって
ただ、ただよってゆきたい
閉館のチャイムが鳴って
不自然なほどの菜の花の野づらも
吹く風も消える
ひっそりと
かたむいてゆくもの