vivid
1
火の房が
きみの黒髪に混ざって
風を食べている
(この手を 退ける燃焼)
2
氷の犬歯が
わたしの拍動する水母 噛み砕き
滴りがあごを伝って
ふたりの皮フに痣
(落ちない、
透明ないのちを失った女の染みは
けっして)
3
ペン先は いつも 瞳孔に命中
――防御しろ、闇のたちこめる行間で
いや、むしろ包め
4
〈敵を愛する、どうしようもなく愛してしまうということ〉
5
風上に
逆さ吊りのピラミッド
あそこから
わたしたち
光と刺し違えつつ
さかしまに 天に入る