木陰の跡で   鈴木一平

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木陰の跡で

今日までついた息で歩いた、枯葉で編んだ橋の上
  きのうは
まだ機能する木の根に絡む水気を吸って
かえるあし       どりがせまる
蛙の足あとを、ひざまずく鳥の影が追いかけて
とりひきを
鳥の息を縫う夕日に向かって
見えない小屋が建っていた、橋の向こうを
          きのうは
吐きだした、光の泡で木の根を支えて
いつか
両足は石の裏に生えた苔になり
苔はとおくの地面と地面を接ぎ木した

木陰のような手跡を見つけたことがある
枝は空の近くで曲がり
林の奥を、戻ってきた子どもの首筋に
ひかげのくも       が
光る雲を掴もうとして、ひざ掛けの上で組まれた指が
まどに   ふれ
窓の向こうに触れたとき
    そこに  あるを   つたって
じぶんの幹を損ねて歩く、一本の蔦がゆれながら
過ぎていく木々の間取りを伝って
薄くらせんする体がゆれた
滞りなく
なにもかも、夕日の小屋を過ぎていく

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