前へ   山口勲

0318

前へ   山口勲

のばしきったあしでじめんにつくのだよと言いきかせると
まっすぐな背すじをみつけた骨盤がゆがみをしぼりだす
つきだした手に触れさせるように腿をあげると
足はそのとおりうごきだし街灯だけがたよりの道で
僕はもうひとつたしかなものをうみおとしたらしい

正しい方法を知らされぬまま駆け足は速度を増し
目印にした人を過去へ抜きさると
歩きはじめた息子と重ねあわせるようにつまずきはじめ
なにもない場所なのにと踏みとどまりながら
これこそが進むということの在処だと気づいたときは
すでに意志と体は距離を取りはじめたあとのこと

切りさいてきた闇は軽さを失って
きしむ膝に家への送り状を貼りつけた
道程を光太郎に問いただしたくなる夜更け
拡げた歩幅をたよりに前へと腕を振る
三度に一つ息子の名前を口に出し
寝顔に歩みを収斂させていく

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