半過去   九堂夜想

自由詩0520

半過去   九堂夜想


貝寄せに
ことごとく
余白となる

病める
天窓の
遠く
 

書き置きの「花器、沖の…」

鳥影が
断つ
占方の街、街

トルソーを嬲るたび
おごそかに
亜鈴は
うすびかる


自動人形の
微笑みの
幻日さながらに
 

フリュート流域から
仮初の姉たちの
つめたい
羽音(が)

いろはうた

悲に
のたうつ
蝶の
うみなり
となり
ふたなり
となり

互みに游ぐ
鏡文字

薄明の
いや
立ちくらみ

悪食のさなか
ギロチンが
単性生殖をうながす


黙の楽
忘却の杯 
星読みの眇
胎位の逆十字
 

地平は
何に
日々割れるのか

縊られた水に
くちづけて
宝石泥棒どもが
多孔質の死を
化粧う
 


知らず
誰が
知る、か
 

白紙委任その
氷れるまま
虚の楕円運動を
終わらぬオートバイ

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