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罪状認否   窪田政男

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罪状認否   窪田政男

気づかいの過ぎた言葉が
落とした視線と
交差する
そこまでしてもらうのは忍びない
いやいや、
させてもらいますよ
滅びるまでとは
言いやしません
すでに足跡が
ね、
そこかしこ

そうですか
それでよろしかったのでしょうか

以降の完全な水平を思うことができますか
波打ちぎわと垂直 
伝言ゲームの幸せから
振り下ろされる
あなたへのバトンさえ
恐怖から作られるのです
黄昏の石切り場には蚊柱が立ちます
だから
遠回りをしましょう
それは心を病んだ人たちの
明日へのための発明
遠回りをするのですよ
許されなかった
たわいもないことの数々
立ち止まっていてはだめだと
耳元でささやき
急いではだめだと
視線をなげる
人も出てきたじゃないですか
発明されたものを
ゆっくりと使いましょう
え、
使うのですか

そうですか
それでよろしかったのでしょうか

深呼吸をすると
背骨が 
疼くのです
雨が降っていましたね 
そこには、指
指し示すための指 
まだ雨が降っています
指し示す 
ああ、それは勇気がいります
この美しい世界の
役立たずと
指弾するのですものね
まあ、いいじゃないですか
ザックバラリン
一刀両断ですよ

そうですか
それでよろしかったのでしょうか

あなたの罪状は
泣き叫んで
なりふり構わず
助けを求めなかったことです
そのことにおいて
罰せられるのです
周りには大丈夫という人ばかりいて
夕ぐれが終末のように
落ちてゆきます
ずっとずっと先にあったはずの
幸と不幸を分かつものが
間断なく今を支えているのです
怖いと言わなかった
助けを求めなかった
罰が
あなたの前髪をぬらします
やがて、をぬらします

そうですか
それでよろしかったのでしょうか

Finの後の
エンドロールは見なきゃだめですよ
生きていましょうよ
あなたの名前が
下から上へ
消えていく
暗転
客電
誰かが、助けてと
叫んでいます
差し伸べる手が
ほら、あなたに生えていますよ

そうですか
それでよろしかったの―

問わないで

水をすくい
顔をあらい
口をすすいで
襟ぐりの大きくあいた
シャツを着て
自転車に乗り
風を切り
街角を曲がり
見えなくなって
助けて、
と言えば
雨はやみ
花が降り出す
あなたの天蓋

窪田政男
短歌結社「月光の会」会員。第三回黒田和美賞受賞 歌集に『汀の時』。

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