盛祥蘭詩三篇    竹内新編訳

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盛祥蘭詩三篇    竹内新編訳

一粒の種

私が四歳のとき 祖母は背の高い人だった
私が八歳のとき 祖母は私より少し背が高かった
私が十二歳のとき 祖母は私より少し背が低かった
私が十六歳のとき 祖母は八歳のようだった
私が二十歳のとき 祖母は四歳のようだった
私が二十五歳のとき 祖母は背が低くなり一粒の種になって
土のなかに播かれた

毎年四月 五里山の草木は必ず一度
それぞれによみがえる
私にはそのうちの一本が祖母だと分かる
どんな供養だろうと私には無くてはならないものだ
彼女とのつながりはそのようにしてこそ確認できるのだから

玉石(たまいし)Ⅰ

川へ投げ込まれた玉石は 家に帰ったようなものだ
水中のその姿勢は いよいよ自分自身になったような感じだ
つやつや滑らかで まるで氷上を転がっているようだ
影になる部分には デザインのための霊感がもたらされている
そこは紋となるが 今に至るまでそれを読み解いたひとはいない

水中に潜っている玉石は 水の性質を熟知している
揺れ動いている間も 意識ははっきりしている
あの遥かな午後を ふと思い起こすこともあるはずだ
水切りをして遊んでいたあの子供のことを
自分の前世を思い出すように 思い出すことだろう

大鷹の死

夜がやってくる
傷を負った大鷹が平原に墜落する
その目は暗くなってゆき 冷たくなってゆき
生命の終わりに近づいてゆく

夜がやってくる 暗闇が侵入してくる
そこに人類はいない 殺戮はない
翼一枚の鷹は 尚も鷹の英知と
敏捷性を保持している
身体を傾げながら こっちからあっちへ跳ぶ
ひと時の暮色から次のもうひとつの暮色へ
夜の左側に沿って 世界の背後に沿って
人類の犯した過ちを載せて

今 平原はひっそり静まり返り
ススキは風の勢いのままに伸び 時間は
タンポポの白いまつ毛に進入してゆく
鷹は飛翔の姿勢で 最後の跳躍を完成させる
心揺らいで落ち着かないこの夢幻の時刻 人の世は
ゆらゆら揺れて その翼の一枚の羽になり
そして鷹は 人の世の真実の姿の標本となる

盛祥蘭(シェン シアンラン/Sheng Xianglan)

女。吉林省撫松生まれ。現在広東省珠海市在住。若くしてロシアのサンクト・ペテルブルグ文化芸術大学に留学。
1991年、全国青年作家代表大会に参加。中国作家協会会員。
作品は相次いで『人民文学』、『詩刊』、『上海文学』、『作家』、『散文』等の刊行物に発表。
詩集に『偶然』、『私たちは全員宇宙の中の撥ね払い』があり、長編小説『愛の風景』、小説集『追放された感情』、
散文集『ペテルブルグの恋』、『歳月は流れる水の如し』、『幼年春秋』等がある。

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