陽気    綿貫悶絶座衛門

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陽気    綿貫悶絶座衛門

学生時代の友人が、俳優として輝いていることを知った。
メメント・モリ
たとえるなら、それは箱。
愉快なおもちゃ、苦痛、成功体験、痺れる記憶。大切なもの。
人によって違えど、道程の中でいろいろなものを入れていく。そしてそれらは価値と呼ばれる。
メメント・モリ
私の箱はどうだろうと、ふと思い出して覗いてみるけど、物寂し気に覗き返してくるのは真っ白な虚空だけ。
悔やむことも、恥じることもある。もちろん悲しくなることもある。
次はきっと、次はきっとと、他人に祈りをささげてきた結果だろう。
メメント・モリ
今を愛している。
箱に何も入れられなかった今を愛している。
生きるのは明日までにしよう。それを繰り返していこう。
メメント・モリ
人に言わせれば、私はきっと素晴らしい人間ではないのだろう。
メメント・モリ
つぶやこう。
メメント・モリ
多面的である。あるいは卑怯とも言う。
精一杯でいよう。どれだけ濁っていたとしても。
これから先、鍵をかけ、大切にしまっておける何かが見つかるまでは、せめて笑いたいと思う。

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