船のような家 エレン・カルドナ(翻訳 マキ・スターフィールド)
わたしは船のような家に住んでいる
時には陸に上がり、時には海に浮かぶ
わたしは自分自身の存在のなかへ
身をゆだね、神の恩寵を招きいれよう
わたしは汽笛に耳を傾ける。
幽霊船の上で
わたしは波であるのか分からない
雲であるのか、水の精であるのか、カモメであるのか
風に打たれて、わたしはマストにしがみつく。
旅から帰還するものはほとんどいない。
今、わたしは第二の皮膚に覆われた一枚の白帆のような
虚無の記憶をまとう
エレン・カルドナ(Hélène Cardona)
詩人、言語学者、翻訳家、俳優。パリ生まれ。スペインの詩人であるホゼ=マヌエル・カルドーナとギリシア人の母を持つ。国籍は、米国、フランス、スペイン。
スペインのカンタブリア大学を卒業後、パリのソルボンヌ大学でアメリカ文学の修士号を取得。過去には、ゲーテ・インスティトゥートやアンダルシア国際大学のフェローに選ばれている。
三冊の詩集と四冊の訳書を出版しており、詩集『Life in Suspension』により、詩部門で2017年International Book Awardを受賞。俳優としても、映画『ショコラ』などに出演している。