月光        天野匠

  • 投稿日:2012年10月05日
  • カテゴリー:短歌

月光          天野匠

嫌いな奴をとことん嫌う君の癖 雲のうしろをゆく紅い雲

君なりに苦しみいるか踏み入らぬ領域ありて銀の雨ふる

あきかぜは人恋うちから孕むゆえ枯れ葉うごかす微力もつゆえ

たわいなき(こと)交わしつつうす紅の茗荷を酢よりひきあげて食む

こんなもんじゃないよと空を睨むときすでに言い訳めく月あかり

月光をもて濯ぎおり偏見に侵されやすき眼球ふたつ

雀らをかわいがりいし白秋のまなじり愛し月とあゆめば

胡麻かおるバンバンジーを噛みにけり食いしばることまれにある歯に

咲きのぼり巻きのぼりゆく朝顔の一念を見き夜更けて想う

鳴るひかるふるえる黙るさまざまの意志示しつつ電話ありたり

作者紹介

  • 天野匠(あまの たくみ)

昭和四十八年埼玉県生まれ。平成十二年「白南風」に入会。鈴木諄三に師事。平成二十三年より編集委員となる。

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