山羊による手紙(暴力について)   山城周

  • 投稿日:2018年02月03日
  • カテゴリー:短歌

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山羊による手紙(暴力について)   山城周

よこたえるからだを通る水脈にかわいた瞼ちかづかせてよ
昼なのに光るネオンの看板を夜よりずっと眺めてしまう
禁じても禁じてもなお暴力は人を引き連れゆく笛の音
Nワード口ずさむその閃光のように誰でもいつかは殴る
やなやつを殺すとなれば岩肌の荒野を駆ける山羊だ私は
葬りかたのはなし 冬の噴水になるようそっと息を吐き出す
雪球を受け取ってかじる歯の奥に失語症めく冬のにおいが
教えてもらった神戸の海側↔山側をずっと覚えているよずっとだ
お互いの性のかたちをたしかめる作業をくり返しするばかり
残雪を汚すばかりの足持てばなるべく弱く踏みつつ帰る

(五首目は「山羊」(『quaijiu vol.2』)より)

山城周(やましろあまね)
2013年より外大短歌会。2015年より怪獣歌会。
第27、28、29回歌壇賞予選通過。
2017年、企画誌『tanqua franca』、同人連作『CA-U』参加。

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