砂の半券   亜久津歩

  • 投稿日:2019年08月03日
  • カテゴリー:短歌

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砂の半券   亜久津歩

永遠の断片としてほろほろときみと歩いた海辺の熱砂
一斉に飛び立つ鳥の影が好き骨は軽くて折れやすいから
/この先は遊泳禁止区域です/ブイの向こうに浸す指先
水底で仰ぐばらばらの夏空 ねえ、と言う息きらきら昇る
ブルーハワイとイチゴシロップ色の舌絡めたような宵のむらさき
活き造りはおいしいけれど 日に焼けていない部分をひらいて晒す
当て所なく重ね合う無傷の身体ふたり光って消えるテトリス
燃え尽きて濡れそぼち半身埋もれた花火の殻のように眠ろう
上下する肩甲骨のうつくしさ人に翼がなくてよかった
潮騒と蜩の朝 感傷は陳腐なくらいが心地よいもの
今死ねばここが最後の場所になる日持ちしそうなお土産を買う
終末は海へ行こうというLINE 誤ったまま生きていけるさ

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