秋に消えゆくもの、冬に留まるもの    五十子尚夏

  • 投稿日:2020年01月04日
  • カテゴリー:短歌

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秋に消えゆくもの、冬に留まるもの    五十子尚夏

しなやかに鞭振るいつつ騎手ジョッキィは秋のひかりのなかへ溶けたり
ビンラディンの息子死せりと報じらるる長月の未だ暑き蒼穹おおぞら
すれ違いざまに男は香港と空咳ひとつ溢してゆきぬ
何某が失脚せりと伝えゆく風に横隔膜は揺れおり
曼殊沙華の最も紅きあのあたりを秘書室秘書課と名づけて去りつ
冬の夢が朝の眉間に残るごとくスイスフランという通貨あり
ラスコーリニコフと名付けられし夜の約束手形が不渡りとなる
水平線をかすめるような七並べ後にも先にもこの一度だけ
小樽、とあなたが告げるその街に十七の僕が雪を降らせる
背に腹は代えられぬからこの胸に銀のアジトを抱きつつゆく

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