ミニチュア    橋爪志保

  • 投稿日:2020年03月07日
  • カテゴリー:短歌

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ミニチュア    橋爪志保

けどやっぱ愛は無礼と思うので植物園で虫を見たいな
ぼんやりと呼吸をしているといつか必ずや死が捕らえてくれる
プルタブをきつく押し上げて飲んでから映画のあらすじ隅々話す
食堂というより簡易休憩室を気の強い人が占拠している
銘柄もタールも真似て買ってむせてみたいな恋がもう終わりかけ
屋上はビルなのに外 ふしぎだね 雨が降ったらここも濡れるね
カラオケできみが歌っていた曲をもう一度きみの声で聴きたい
コーヒーを飲んだら痛む胸のように東京からのメールを待った
川べりの写真を撮るたび貧相な身体とおもう 川もわたしも
ミニチュアになれたらきっとのぼりたいきみの苗字にあるはしごだか

橋爪志保(はしづめ・しほ)
1993年京都府生まれ。
京大短歌を経て、現在「羽根と根」同人、「鴨川短歌」メンバー。
第二回笹井宏之賞にて永井祐賞受賞。
ツイッター:@rita_hassy47

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