お盆のご馳走   勺禰子

  • 投稿日:2020年09月05日
  • カテゴリー:短歌

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お盆のご馳走   勺 禰子

自転車ならよかろとマスクはづしゆく吾は一瞥され避けられる
コロナ禍に籠る各年代層ににじり寄り来るライザップかな
後ろ手に連行される周庭であればモザイクなしに見てをり
日に褪せた選挙ポスター「再誕。」の明朝体も色を抜かれて
複製したことも気づかず棒読みし憲法改正夢見るをとこ
記者団を纏はせてゐるつもりかもしれないですが真裸ですよ
センジンニチルといふとき戦塵と疑はず去年の夏まで吾は
「お盆のごちそう」はいつから肉に成り果てて黒毛和牛並ぶチラシみてをり
コンタクトレンズ外れて遠景は淡い過去だと知る夏の昼
「触ラナイデクダサイ」といふ第一声AIロボットアリサは発す

勺 禰子(しゃく ねこ)
一九七一年、大阪府堺市生まれ。二〇〇七年、短歌人会入会。二〇一六年、「荒鷲の雛―晶子が詠んだ戦争短歌」で短歌人評論・エッセイ賞受賞。二〇一七年、第一歌集『月に射されたままのからだで』。奈良市在住。

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