ヴンダーカンマー   山川創

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◾️詩歌トライアスロン連載(第三回)

ヴンダーカンマー   山川創

抽斗がひとりでに開いていく夜の長生きしたい気持ちの発露

携帯電話を初めて手にしたときのことをあなたは思い出せるだろうか
その日は特別な日になるような気がして目を覚ましたのだったが
寝室の窓から見えるものだけを声に出しているうちに終わった
そして許されるために咳止め薬が与えられたのだ

お粥を食べているとお粥を食べている感じが徐々に増幅される
調子がいいときにはずっと続けられることを続けない
名付け親になってあげてもいいけれどいつまで走っているつもりだ
これは事件だと帯に大書された本を見て焼きたいと言った
国を成り立たせているものは言葉ではないましてや思考ではない

原材料の高騰によりやむを得ず値上げとさせていただきますね♪

満月を安易に幻視してしまう
対義語を求める人は身の上を語り始める
アウト・オブ・バウンズ いつも気をつけて立っているのに転んでしまう
埃から生まれるものといつまでも戯れていたいと思っていた
しかし
再び扉が開け放たれたときに
再びその日は特別な日へと成り下がり
再び私は薬を嚥下し続けるのだ
カストラートのための音楽がどこかから流れ続けている

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