龍が食む月―皆既月蝕を―   横井理恵

龍が食む月―皆既月蝕を―   横井理恵

秋日和どこかに龍の声がして

桐の実を鳴らしてゐたる光かな

後退る我あり冬が待つてゐる

凩へいつも一人称単数

枝ながら冬越す一葉紅幽か

皓々と侵蝕されて月天心

月食みて地球の青は輝くや

龍の腹透かして赤し冬満月

北欧の句は凍土より立ち上がる

歳晩の鏡に映つてゐる昔

新玉の年を銜へて龍潜む

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「作品 2011年12月30日号」の記事

  

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