No37
わたりはじめてきたチェチェもいて
気も遠くはぜるすなわち
真綿まぐわいに近い〈Mogwai〉
で洩れきこえる舌打ちが分裂していく
ポーラはらからすみたりける裸像だそれ
頬の梁をふくらせて座敷だ
その日からリズムがひとつ
ひとつ印字されて 哀しいながめ
歯からさびていくお
させ 繭のうらがわの縫合によるが
異説にかれていく
そここことうつろいゆく衣擦れの糸ひく思ひ
においやかな 後れ毛の 梁のふくらせた
うららかな口承たからかな
「あ」文字の見返りうるわしくそれはうるわしい
谷折りにからげていくポーラの尻の
はらむ圧に口をのせて
「あ」に こぼれていく 煤、煙、という浜千鳥チェチェ
円居して踊りあかす冬暮れ添い寝そっと
ともされわたることにはだけよ
縫いみる気ぜわし
よひのまつにほのみえる気のり
思わせぶりにつのらせて
ポーラに冬のさわりがおこった
衣が縒られながらほどけていくゆっくり水にうつる
抒情小曲集(ショート・ピース) 高塚謙太郎
- 投稿日:2011年12月30日
- カテゴリー:作品, 作品 2011年12月30日号
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