龍が食む月―皆既月蝕を― 横井理恵
秋日和どこかに龍の声がして
桐の実を鳴らしてゐたる光かな
後退る我あり冬が待つてゐる
凩へいつも一人称単数
枝ながら冬越す一葉紅幽か
皓々と侵蝕されて月天心
月食みて地球の青は輝くや
龍の腹透かして赤し冬満月
北欧の句は凍土より立ち上がる
歳晩の鏡に映つてゐる昔
新玉の年を銜へて龍潜む
龍が食む月―皆既月蝕を― 横井理恵
秋日和どこかに龍の声がして
桐の実を鳴らしてゐたる光かな
後退る我あり冬が待つてゐる
凩へいつも一人称単数
枝ながら冬越す一葉紅幽か
皓々と侵蝕されて月天心
月食みて地球の青は輝くや
龍の腹透かして赤し冬満月
北欧の句は凍土より立ち上がる
歳晩の鏡に映つてゐる昔
新玉の年を銜へて龍潜む