絶対都市 久石ソナ
いつものようにありとあらゆる文字に囲まれて、
私は土地や世紀を飛び回っている。この部屋で一
人、時間を置き去りにして生活をしているから、
何もかもが腐らないし汚れない。
この画面の明かりは私の目。機械音が鳴り響いて
いる。私の目の前には電子にまみれた世界が広が
る。その世界を一つ一つ私のいる世界へ造り替え
て、そうやって私は呼吸をしている。まだ知らな
い酸素の香りが満ち満ちている方角へ。私は遊牧
民の心を背負っている。
しばらくその土地に目を向けていれば、ここに都
市の気配が漂う。画面の外側にいる私の、さらな
る外側に都市が、ビル群の営みがこだましている。
知らない匂いのさらなるさきへ私は向かう。その
時に私の外側からは都市が押し寄せる。またして
も、私は知らない土地と世紀に未知の都市を築き
上げるのだろう。
夜も昼もないと気付かされて久しい私はここにい
る。そうやって声をあげて、ビル風が私を新しい
へ飛ばしている。