大道大乗歩行―芸能芸術起信考―【十】
明滅船 男波弘志
ランボーや野のやうな
父とゐて二月の鳥の水びたし
一つ立つ腋の鱗やよなぐもり
野を焼くや絶句絶筆林立す
木の股をすぐ下りたがる恋の猫
泥鮒の鱗一枚づつ交む
蛇交む詩の行間の水びたし
蟇交む同じところに日と月と
木の瘤につまる
走り根の行間を蟹埋め尽す
放課後のどれも流木めく机
幹に刻む神童の
垂直に立つ鳥誰の絶筆ぞ
執筆者紹介
- 男波弘志(おなみ・ひろし)
昭和41年(1966) 真冬 出生
北澤瑞史 創刊 俳誌「季」 元会員
岡井省二 創刊 俳誌「槐」 元同人
永田耕衣 創刊 俳誌「琴座」マンの会 元会員
現在 俳誌「里」 同人
既刊句集 『阿字』(田工房)
合同句集 『超新撰21』(邑書林)に入集