WITH BOOK 01 北爪満喜
7月6日
暑い夜に青い月
寝付かれないまま夢が畳に張り付いていた
四枚のカミを拾う
耳のような四枚をオアシスに差して 手を合わせると
みているまに書かれた白抜きの「白い」という文字が
パープルに変わってしまう 紫の白
騙されるとは色がとりかわってしまうことだと
目で相図するのはカミを差したオアシスをささげもつ鏡の中の
私
が 顔色も変えないので
許せない雲が湧き包丁を握って
畳に落ちた一枚を突き刺す
振り下ろす動きと柄の堅さが
掌にのこって
昼過ぎに街へ出て
歩いてふらふらと入ったデパートのエントランス近くに
とりどりのデザインの日傘の隣
ブックスペースが差し出されていた
夢のように
横に流れる棚の目がゆく
出会ったのは400キロも離れた街にいる友達の名前 本
ページをめくりページをめくる
借りたままはいった上階のカフェ
ページを開くと
白い紙の本の背中に翼が開き
大きなガラスから差し込む陽差しがカフェのテーブルを透明にする
ふと目を上げる
白鷺が ビルの七階 屋上を
羽ばたきながら飛び過ぎてゆく