せかいのトレンド 井上法子
上空にいるひとはいつも
ほとばしるように頷いてから
落下してゆく
まふゆ、雑巾をしぼるちからがなんだか(倫理)
写真のなかのスープはいくら零れても
わたしを濡らすことはもうないのだから
あのカラフルな傘ん中で、また
向き合ってチャイでも啜ってようよ
(話をきけ)(朝寝いつだってこわい)
パンケーキを焼いた昼餉でさえも
あのじゃぐちから滴るみずにいきどおり(逮捕)
上品にパターを溶かしながら
午後はつぎつぎと太平洋を占拠する
可笑しいねきょうはゆれないはず、けど
芽をおいたまくら支えきれず逃げた
遷都は当にお手のものだったのに
嵌まればカルチャが未だ這いつくばってる
(それが愛なら震えてろ)
たとえどんなに良い子でも
どうせ燃えない花なんだから
血が通う、ことによっては澄みつづける
これがせかいのトレンド