夜の紫陽花 藤原龍一郎


夜の紫陽花   藤原龍一郎

梅雨空に飛びゆく鳥の一羽あることこそこの世苦役にあらず

吟遊詩人なる恍惚の半生を想像したるのみゆきゆきて

読み返す太宰の『斜陽』罰として香りなきゆえ夜の紫陽花

な忘れそ薄暮試合の甲子園かのザトペック投法在りき

限界のラインは在りてまだ踏まぬ島の四国の六月の土

雑居ビルその裏口のたまきはる喫煙領域エリア抜けわが或る日

戦中を巡業しまた日記書くホモ・ルーデンス=徳川夢声

メランコリー通俗的に解釈し街路夕陽のガンマン見えず

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「作品 2011年5月27日号」の記事

  

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