二十四節気アンケート結果の発表について/筑紫磐井

読者のご協力をいただいて集計した二十四節気アンケート結果を、主要俳句総合誌及び新聞、協会などに次のとおり送付、発表しましたのでご覧ください。ご回答いただいた皆様に深く感謝申し上げます。また、今後いろいろな問題が派生しそうな状況ですので今後ともよろしくご協力をお願い申しあげます。

二十四節気シンポジウムと二十四節気アンケート結果について   平成24年8月18日

各方面の御協力により、去る7月27日から29日までの3日間、小諸市で「こもろ・日盛俳句祭」が開催されました。この「俳句祭」の中で季語シンポジウム「私にとって季語とは パート2」が開かれております。このシンポジウムでは、日本気象協会が提案している二十四節気(立春や立秋)の見直しについて論じられ、パネラーに日本気象協会本部管理部の金丸努事業課長、俳人では本井英(司会)、片山由美子、櫂未知子、筑紫磐井氏が参加して、会場からの意見も求めて突っ込んだ議論が行われました。

さてシンポジウムでは、金丸課長から日本気象協会の現在の考え方について冒頭次のような説明が行われました。

「二十四節気の見直しは気象協会という技術集団の素朴な質問から発したもので、広く専門家の意見を徴することとした。その過程で、気象予報の先輩である倉嶋氏などいろいろな人から批判もあり、現在は、二十四節気は変えず、解説とか言い添える形で分かりやすくしたい、季節を今の言葉で言い表すことが大事と考えている。一方で季節の言葉を公募したいと思う。」

これを皮切りに、パネラー、そして会場から、島田牙城、小林貴子、岸本尚毅、山田真砂年氏などからも意見が述べられ議論が行われました。

二十四節気の見直し論争はこれで終わったものでもなく、日本気象協会では季節の言葉の公募をされるという話をされていますし、直前にも新聞や雑誌で大きく取り上げられたことにかんがみて、俳人により今後、議論が一層深められることを期待したいと思います。

特に、このシンポジウムに際し「二十四節気アンケート」を実施しました。俳人の率直な意見や考え方が示されているものであり、これからの議論にも参考となると思います。ついては、別添のアンケート資料を送付させていただきます。貴社の雑誌、新聞にこれらの資料をご活用いただき、二十四節気に対する関心を高めていただければ幸いです。

※気象協会では、すでに季節の言葉の募集を開始しました。選定委員が決めた優秀作品の著作権は気象協会の帰属するとのことですが、すでに季語として歳時記に掲載されている言葉を自由に用いることができなくなったりしないよう、注視してゆく必要があります。

二十四節気を考える俳人の会   本井英・筑紫磐井・片山由美子

(連絡問い合わせ先)

  • 〒249-0005 逗子市桜山8-5-28 本井英(電話046-873-0320)
  • 〒167-0021 杉並区井草5-10-29 筑紫磐井(電話 03-3394-3221)

2つのアンケート結果とその全体要旨

資料の種類

資料①:こもろ・日盛俳句祭会場での「二十四節気アンケート」(取りまとめ:本井)

資料②:インターネット上の「二十四節気アンケート(第2次集計)」(取りまとめ:筑紫)

資料1(以下①という)はシンポジウム会場でアンケート用紙により回答したもので64名の回答を得た。資料②(以下②という)はシンポジウムの2週間前から俳句系ブログ「詩客」「週刊俳句」「スピカ」等で募集してインターネットで回答を求めたもので8月17日までで115名の回答を得た。①と②は同じ質問により行われており同質のアンケートと見ることができるので、アンケート結果の概要を2つまとめて紹介する。なお、回答者は、①は50~70代(74.8%)、②は40~60代(66.1%)が特に多くなっている(問1年齢関係)。

問2.二十四節気のうち、いくつ御存じでしたか。

日本気象協会が6月に上野公園で一般人99人を対象に実施したインタビューでは、「あなたは二十四節気をいくつ知っていますか」の問いに、

24~19個    17人(17%)
18~13個    16人(16%)
12~7個    42人(42%)
6~1個     21人(21%)
全く知らない    3人(3%)

と回答があった。(http://www.jwa.or.jp/content/view/full/4514/

今回我々のアンケート調査では、俳人を中心に行った調査であるため圧倒的に二十四節気の周知度が高かった。①では24個すべてを知っているのは40,6%、②では59.3%、気象協会インタビュー調査の最高レベル層(24~19個:17%)はアンケートでは76.4/80.1%に達している(数値は①/②で比較し示した。以下同)し、最低レベル層(6~0個:24%)は0%/0%であった。

 なお①における回答なしの数字は、母数には入れたが各項目では示していない(以下の質問項目でも同様)。

問3.二十四節気を俳句の季語として使ったことがありますか。

「はい」が93.7%/92.2%、「いいえ」が3.1%/7.8%で、24節気の周知度は、実作に使う必要性からも高いものと推測された。

問4.現行の二十四節気を廃止する必要があると思いますか。

「はい」が7.8%/1.7%、「いいえ」が85.9%/98.3%で、圧倒的に否定的回答が多かった。

問5.新しい季節の言葉を作った方がいいと思いますか。

「はい」が34.3%/40.9%、「いいえ」が56.2%/59.1%で、否定的意見が多かった。

問6.新しい季節の言葉ができたら季語として使いたいと思いますか。

意外だったのは、「はい」が60.9/62.6%%、「いいえ」20.3%/37.4%で、出来上がった新しい季語には積極的な態度を持っていることであった。

問7.新しい季節の言葉はどのようにして作ればよいですか。

「地域や古くから伝わる言葉を発掘する。」が50%/46.1%
「優れた作家が作品で提案する。」が12.5%/27.0%
「気象協会などが提案する。」が10.9%/5.2%
「その他」が6.2%/21.7%であった。

気象協会などへの期待はあまり高くなかった。

問8.季語でありながら一般にあまり知られていない好きな季節の言葉を上げてください。

1つに限ったため多くの季語に分散してしまったが、その中では「夜の秋」「新涼」「ゆきあひ(行合)の空」「虎が雨」「白南風」「木の根明く」「花筏」「雲の峰」「短夜(明易し)」「貝寄風」「朝曇り」などが複数回答であった。季語数は、①で23、②で98が提案された(一部重複あり)。

問9.季節や気象に関心がありますか。

「はい」が96.8%/95.7%、「いいえ」が0.0%/4.3%であり、日本気象協会が気象に関する普及啓蒙活動を進めるにあたって俳人は有力な集団であることが分かった。

問10.俳句を作るにあたって季節や気象の知識は必要ですか。

「はい」が95.3%/82.6%、「いいえ」が1.6%/17.4%であり、これも上記質問と同様である。

問11.季節や気象の知識はどのように手に入れていますか。(複数回答可)

「歳時記・俳句の書物」が95.3%/92.2%
「季節・気象の啓蒙書」が31.2%/41.7%
「新聞やテレビの番組」が54.6%/35.7%
「その他」が4.7%/44.3%であった。

歳時記・俳句関係の書物への依存度が極めて高いことが分かった。

問12.二十四節気についてのお考えを自由にお書き下さい。

①では24件の書き入れ、②では72件の書き入れがあり、この種のアンケートに比較して、能動的な意見の持ち主が回答者には多いことが分かる。膨大かつ長文の回答が多いので、一部を紹介する。[見直し賛成]2、[見直し反対]62、[中間意見(関心ない、両方あってよい、一部修正は可など)]8に分けてみたが、いろいろな意見が混じっており評価の仕方は異見があるかもしれない。

[見直し賛成]

●もともと中国の気候に合わせて作られたものをそのまま使うということ自体無理があるのだから、日本独自のものを作っても何の問題もないのでは。それに気象庁がやることについて俳人がとやかく言うことではないでしょう。二十四節気は俳人や歌人の為にあるのではないわけですし。歳時記に季語としてあるから使う機会があるけれど、もともと季節的な実感がないまま季語として使用してきた言葉は、単に俳句的風雅な言葉として俳句歳時記には今までの二十四節気と、日本の風土に合った新しい二十四節気と両方載せればよいではないか。今までの二十四節気を外してしまうと、古くに詠まれた俳句の意味すら読み解けなくなってしまう可能性もあるわけだし。「竜淵に…」「雀蛤と…」等も季語として使用しているが、まったくの俳句的風雅な言葉として実感を伴わず使っている訳だから、別に何の問題もないんじゃないですか。旧二十四節気、新二十四節気で。

[見直し反対]

●二十四節季は昔から今へと綿々とつながる日本文化を象徴するものの一つだと思います。これを廃止し、新しいものに置き換えることは文化の断絶をもたらすことになり、避けるべきことと思います。

●なぜ長く続いてきた文化を現代の浅薄な知識で書き変えようとするのか理解できません。いまのままでいいのは当然のことだと思います。

●新しい「季語」を提唱しても、本意の歴史が確立していないので季語として役に立たない(季節性を表せても言葉としての力がない)。二十四節季はそのままで良い。伝統のある季語はほぼ全て中国発なので、それらも変えてしまうのか(ばからしい)。日本でも北と南では季節感が違い、季節感のずれは当たり前。しかも、二十四節気は太陽暦に基づくものであって旧暦でも新暦でも同じ日(日付の数字は違うが)である。そのままにしておいてほしい。立春や冬至が別の名前になるなんて考えたくもない。現代人の国語力のなさ(啓蟄の意味がわからない)を「季節感のずれ」として問題をすり替えているにすぎない。

●気象協会の言い分もわかりますが、それならそもそも、別な概念の言葉を冠すべきであって、あえて節気を持ち出す必要はないと思います。むしろ、従来の季感と大幅にずれている地域など、縁辺部の充実を図るような活動をなさったらいいのではないでしょうか。そもそもが公的機関なんだから余計な似非美しい日本プロジェクトなど行う必要はないと思います。これを提案したからと言って自然災害に備えがいくわけでなし。

●短歌をつくっています。短歌に使うことがあります。言葉は流動的なもので仮に現状の気象に即した言葉をあてられてもまた『現状』の気象は早いサイクルで変化するものと感じます。むしろ古い文化としてあえて古いサイクルの言葉を用いて作歌することも古い形式の詩をつくるたのしみのようにも感じています。勝手を申しました。場をつくっていただいてありがとうございました。

[中間意見]

●今の太陽暦とは、やはりずれがありますから、ずれを調整しならがら詠んでいる時があります。新季語が自然に生まれているように、節目や移り変わりに敏感でありながら、注釈なしで読み取れるようなそんな呼び方が生まれても良いと思います。

●新しいものと、古いものが両方あったらいいと思います。

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