すいそう   横山黒鍵

すいそう

すいそう   横山黒鍵

水の楽が
通り過ぎてい・く
羽ばたく
という・たく火
夕顔に揺れ・て
み・ずという草の
ふえ・につめ
しることに
たく・さんの桶が
ふるえ

入門・書を割る閂に沁みるみず
さか・むける秋に死ぬ
ことば・と蚯蚓
父の名に蟹・を見つけて
水葬す
ゆらゆらと揺れる草・にも名付け親
田螺には田螺・の道を吹くあらし

火は
郵便局に・届いた
宛・どころを探して
蟋蟀は食む
こころ・折り曲げて
その流れ・を整えるように
やがて
雪・がふる
待ち・侘びるように
病みを得て
田に・従うように稲は垂れ

(わたしを区切らないで)

 

ひるがえるもの
かぜと
あそぶもの
きせつがかわり
また
汗のながれるきょりが
ながくなりました
こびりついた
白い道は
泣き疲れて眠ったあと
頬に均されるそれと
おなじあじ

歯並びに
歌う
首と萩の花
牛を・牽く
袖に燻・るかなしみに
そっとくちび・るを
よせ

池に目高・を掬いに行った夏
緋くうつ・くしい魚を見つけた
わたし・の歯はそよぎ
わかかった
すず・むしの渡し
埋め立てられていた蟋蟀と骨
目・だけ置き去りにして

落ちた葉を
指でつまんで
そよぐ睫毛
とおくとは
きみのいるまち
軽くなる
葉のうらがわを
手のひらにのせ
ふっとふいて
おかえりと

荷台には言葉・足りずの荷物かな
金蛇・を覆い尽くして月天心
そでに迷い込んだ蛙・の干物を
そっと上手から・追いやって
そ・うして座席へと戻る
夜はくれ・ない
薄目・にも
誰・にも
腹黒い
処女にも・匂ううるか
うるかした米・をたく
その手・を煤けさせる
火・を
届けてくれません・か

はくてふ・の声降・る夜に
みず・渡り
蟹・の父は
楽・奏を吹く層のしづけさ
額縁におさめられた静かな水槽
煮詰め・ると
こびりつく
背中・にびっしりと
た・まごに
目を剥いて
届いた火は
さりささりさと音を立て
はさみ
顔・割る

写真にしか
映らないものが
あるとして
つめたさ
があさ
ふるのだと
おなじように
みる
むこうには
父と名付けた蟹がおり

かみのかわりに
なでる
枯れ草
すべてをひるがえして
ワンピースのまとわりつくまま
きみの足の間を
おいこしていけ
かぜ

タグ:

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress