第8回詩歌トライアスロン融合作品受賞連載第2回 ハラ切ると、ギターのサディスト現れて 豊田 隼人

第8回詩歌トライアスロン融合作品受賞連載第2回
ハラ切ると、ギターのサディスト現れて  

豊田 隼人

年に数回の
制服を着ながら
この腹からこぼれていく臓器はきっと俗物なんだろうと
澄んだ妹の眼が
近所迷惑だった日
スマートフォンに朝刊が
血を溢していて傑作だった

ハラ切ると、ギターのサディスト現れて「このまま生きていけよ」と殴る

君の暴力は
錦の御旗
郊外を流れる川
手元にブレザーのボタンをもつ
激レア静物みたいな
宣言文書、切り取り線はこの先にある
街、

野分にも参考書にも波殺し

「台風十四号です」
紹介はそのぐらいにして街に来なよ
学校は一つしかない
それも普通科
所以は君の方が知っているんじゃないか
僕にも臓器はあるけど、君の眼は
ちょっと遠いんだ
音楽がなんやかんやあって人を滅してみたりする

俗説を垂れ流すひと川瀬餓鬼

彼が口から自分の
夭折を翻して見せたのは
興行目的ではなく
川面に浮かぶ子供の
靴が他人のものだと示すため
所詮はアリバイを肥やすための仕掛けだ
楽器使って殴ってみな
その行いは芸術として評価されて
君は悔しくて 悔しくて
そのまま
四百万部の新聞に滲んでいく

絶対に絶対に絶対に秋晴れ 点描画だけに済ませとけ、風

【痙攣する美術館は
 建物ごと
 瑞々しいわたしの受肉です
 すべてが露わになって
 美術品たちの最寄り駅が
 崩壊して
 たましいが飛散する
 から、わたしは人間なのです】

自分で自分を描写してハレバレする
引用符には
手垢がついていて
君の眼には
清くグロテスクな
造詣が
迫ってくる

※【】内は未発表の自作からの引用です。未発表だからこんな風にする必要はないのだけれど、けじめって呼ぶものかしら? なんだかもう、人がどんどん消えていく詩、動物も出てこない、無機物だらけの世界に区切りをつけるための、性交。yet to be proved. 形而上学的(K゛マーケット)な味わいの詩ですね。「形而上」ってなんや(じょうず)。「シニフィアン/シニフィエ」とか使うな。全員死んでからが勝負だ、奇人ども。芸術はすべて受け手側の問題。面白いと思って読めよ。肝心なことは、僕の腰痛が治るかもしれないっていう、未確定の事実だけだ。将来は、偵察衛星を軌道に乗せて、永遠に無機物として生きること。

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