ガリラヤ湖 後藤貴子


ガリラヤ湖 後藤貴子

春の鳥な鳴きそ味醂掛けてやる

垣間見し背ナの和彫の獅子唐ぞ

萵苣色に割れ山塊が放つ陽よ

霧深きわが枕頭のガリラヤ湖

水甕や抱いてもらえぬ月の暈

心臓のかたちの鼓打たれゐて

杳として降霊術の桃一個

わが火葬さみしく酸素使わるる

御霊前ふとひぐらしが点りけり

竹藪に見目よき位牌根を張れり

作者紹介

  • 後藤貴子

 1965年 新潟市生まれ。現在も在住。句集に『Frau』(冬青社)、『飯蛸の眼球』(鬣の会)。

 現在、「鬣」に所属。現代俳句協会会員。

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