ちぎっては投げ   鈴木英子

  • 投稿日:2012年08月24日
  • カテゴリー:短歌

ちぎっては投げ

              

照りつける太陽のもとにんげんは丸腰でこころまるめて歩く

ひとと違うことをなしたる身とわれは時折遠くこの身を撫づる

どうしたら産めたのだろう障害児圧倒的な普通で良かりき

雲使いになれれば雲を寄せ地より「ゾウ」など楽しく叫ばれていん

雲使いになれればにんげんこを見よとちぎっては投げちぎっては投ぐ

障害のある子を連れいる母親のおおかた疲れし顔見するが嫌

障害のある子を連れて思いきりどうでもよいよな顔もしてみん

丸腰の強き恋われにありたるとやわらかくなりし肢体がうたう

攻撃的筆致がわたしの持ち味でわたしが逃げたいわたしに挑む

満足な言葉をもたざるわれなれど指うちかいな胸の饒舌

作者紹介

  • 略歴・鈴木英子(すずき・えいこ)
    • 昭和37年東京生まれ。昭和53年新井貞子に師事。昭和59年新井貞子創刊「こえ」に参加。
      昭和60年第一歌集『水薫る家族』。平成4年第2歌集『淘汰の川』。平成9年より「こえ」代表代行。平成17年『鈴木英子集』。平成23年日本歌人クラブ中央幹事就任。

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