人体と植物      中山洋祐

  • 投稿日:2012年09月07日
  • カテゴリー:短歌

人体と植物      中山洋祐

認知症が脳に根を張り夢の木のような身体の老女を運ぶ

病とは自らの影か発熱の子が振り払う腕より影伸ぶ

地表から吸い上げし雨を咲かせつつ百日紅の花ほのかに明るむ

うどん食む子の指先はふと止まり不意にわれの瞼に触れる

飛び降りし男はカラフルなスニーカー脱がされぬまま運ばれてゆく

遺伝子を変異なく増殖させるため「安全地帯」の卵と牛乳

父は老いをしずかに踏みぬ黒き靴光らせながら曲がる踊り場

子が眠る夜更けに暗い微笑みのような匂いの茗荷を刻む

夜の音は研ぎすまされて薔薇の葉が触れられるのを拒む声する

若者の消える世界の底辺に踏まれながらも酸素吐く花

作者紹介

  • 中山洋祐(なかやま・ようすけ)

かりん所属

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