ぎんなん/赤いチェックの水筒/風の谷へ  天野 慶

  • 投稿日:2012年11月09日
  • カテゴリー:短歌

ぎんなん/赤いチェックの水筒/風の谷へ

言葉へと変換できないものたちが舞い散る秋のなかに佇む

ぎんなんをぱちぱち割ってゆくうちに言えずに過ごしたことが転げる

天動説唱えるようにわたしたち原子の光を信じていたね

いちめんのセイタカアワダチソウの黄が泡立ち波打ちすべて飲み込む

次の物語が始まるまでの間を「ただちに」という言葉で繋ぐ

マテバシイの実を拾いつつ(ホウシャセイブッシツがこれほどおおきければ、と)

水筒にお茶を詰めたら出かけよう淋しさの火はもうすぐ消える

結界を決めるガイガーカウンター神様たちしか住めない世界

ナウシカのようなマスクね、そうだねとほほえみあって早める歩み

神話ほど長い時間をかけたのち消えるひかりに雪が降り積む

作者紹介

  • 天野 慶(あまの けい)

1979年東京生まれ。「短歌人」会所属。おもな著作に『テノヒラタンカ』(共著)、『ウタノタネ』など。最新刊は絵本『だめだめママだめ!』(絵・はまのゆか)。イラスト付き百人一首「はじめての百人一首」考案。
12月22日小中学生対象で「はじめての百人一首大会」を開催します。詳細は京都・百人一首殿堂「時雨殿」までお問い合わせください。

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