トゥルーブルー 萩岡良博

  • 投稿日:2012年11月23日
  • カテゴリー:短歌

トゥルーブルー 萩岡良博

黄蝶二匹もつれつつ萩むら揺らし花こぼしをりほろほろと秋

(うれ)たかくあけびの熟れ実下がりをりわんさかわんさわんさかわんさと

ほんたうの青(トゥルーブルー)は汚れぬかぶらさがるあけびをあふぐ空のしづもり

ぱかと割れひかりをはじきぶらさがるあけびはわれの死後を唄へり

たふれつつコスモスそよぐ団塊の世代に遅れて損ばかりして

雨のなかに整列をせしラグビーの敗者泣きをり泥にまみれて

老い母の汚物処理せしてのひらをさらさら流る月のひかりは

肩の凝るほど実をつけてずむずむと柿の木あゆむ秋の後姿(うしろで)

散りしきるもみぢに舞ひて夕さればはずしし面を筥に納めぬ

あを澄める空とほどほといくたりの死を見送りて紅葉(もみぢ)散らすか

作者紹介

  • 萩岡 良博(はぎおか よしひろ)

一九五○年奈良県生まれ。ヤママユ編集委員。歌集に『空の系譜』、『木強』、『禁野』、評論集に『われはいかなる河か-前登志夫の歌の基層』がある。

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