ちいさき冬に 内山晶太

  • 投稿日:2012年12月07日
  • カテゴリー:短歌

ちいさき冬に

あかぐろき宵のさざんか粛々と謝る仕事をこなして暮らす

かたばみのはじける音は風景に10デシベルを上乗せしたり

明治ヤンヤンツケボーを夜半のおやつとし指もて抉るチョコの残りを

たまに痒くなるためだけの乳首などふたつ灯せりちいさき冬に

精神の散るさびしさは謝罪して謝罪して白き萩ふりこぼす

煙草より炎あがらぬ理由などしばらく思い、知るよしもなし

石垣に実り合いたるかたばみのはじける音はかたばみが聴く

てのひらの奥に血管しげらせて会いにゆくその街灯のした

水を煮て今しばらくをそのままに煮えくりかえるものを俯瞰す

春になれば春の謝罪をくりかえし降るはなびらを帰路は見にゆく

作者紹介

  • 内山晶太(うちやま しょうた)

一九七七年千葉県生まれ。
「短歌人」「pool」同人。
第十三回短歌現代新人賞。
歌集に「窓、その他」(六花書林)。

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