米の香 松﨑英司

  • 投稿日:2012年12月14日
  • カテゴリー:短歌

米の香

米の香のことさら強き日本酒に合はす肴を望まれてをり

身に詰めし苔の香をこぼしつつ焼かれゆく鮎背鰭開きつ

叩かずも叩きて叩く叩くとき叩けば叩けうづらの肉を

空焼きのフライパンから出づるけぶり火消せばさらに強くけぶりぬ

マンションを覆ひし黒き遮蔽幕落日浴びて墓標に似たり

突風に流されて夜の公園の噴水の水は高く上がらず

海近きビルの隙間を吹く風に潮の香ありて街の香のなし

刈られても刈られてもなほ茎伸ばしゆふげしやう咲く土の香深く

七片のパズル嵌めにし細胞をわが脳内に探すこの夜

とほざかるサイレンの響わが裡に小さき音のままに残りつ

作者紹介

  • 松﨑英司(まつざき えいじ)

1960年生まれ
2002年 「星座」入会
2009年 『青の食單(レシピ)』上梓

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