あ 髙橋みずほ

  • 投稿日:2013年04月12日
  • カテゴリー:短歌

短歌高橋130412

あ                   髙橋みずほ

あ と思う先に釣り針の光につられて日の真下

あ と口をあけたままなる豆いわし竹とおすほどのひろがり

あ とあけたときにゆきぬめばるの一生あけて終わりぬ

   *

めがね橋空ゆく列車の窓に子の口口あけてとおりすぐ

息をのむように あ とあけつつ田んぼの向こうの空の橋

めがね橋緑深きをつなげゆく電車の音の木の間をすぎき

   *

釣られることのかなしみを口あけたままの目はふたつ

かなしき声のかたちするめばる小めばる横の向き

海中のきらめきにふれつられた魚のひかりは青く

   *

波音をききつつあっけらかんと干からびてゆく潮風のなか

作者紹介

  • 髙橋みずほ(たかはし みずほ)

1957年、仙台市生まれ。加藤克巳に師事。「個性」[BLEND]を経て、無所属。
歌集『フルヘッヘンド』(砂子屋書房、二〇〇六)、『しろうるり』(邑書林、二〇〇八)、『春の輪』(沖積舎、二〇一二)など。
個人サイト 蓑虫の揺れ

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