grief work    田丸 まひる

  • 投稿日:2016年10月01日
  • カテゴリー:短歌

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grief work    田丸 まひる

夏痩せのつめたい膝にふれられるふたり暮らしの小さな棺

心音を重ね合わせて心音をからだのなかに泡立たせたい

石けんの青い匂いをかぎあって息苦しさは生活になる

午後からは雨 秋物のやわらかいノースリーブを勧められても

友達の子どもの話をしたあとの存在しない子どもの話

「結婚は三回くらいしなさい」と占いのひとに手を握られて

育児書を仕事のために積み上げたデスクに伏せてみるそぞろ寒

長き夜のスマートフォンの体温がひとの温度をこえてゆくまで

シリアルを二種類混ぜたシリアルが堂々とある朝の食卓

わたしより先に死ぬって決めているあなたが先に冬になりゆく

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