たぶん 川島結佳子
青春は気味悪くあり錆びついた傘差し向かう同窓会へ
女だが女装してゆく鉄黒のタイツ私の脚細く見せ
おばあさんがおばあさんに席譲るとき進んで都電荒川線は
手すりにも掴まらず立つおばあさんの体重支えるくるぶしの骨
国芳の絵「人かたまつて人になる」いちご串香るアルタの前で
ドライフラワーなのか私は出会う人出会う人皆「変わらない」と言い
蜘蛛ならば巣を張る隅を陣取った私にも生ビールは注がれ
「つまんない女だ」君と私とで笑う私のつまらなさなど
郷愁に酒に酔えない私には夜の雷雨が付き纏いゆく
膝に痣残したままで雪みたく忘れてゆける私だ たぶん
川島結佳子
1986年生まれ 東京都出身 短歌結社「歌林の会」所属 第五十八回短歌研究新人賞次席