たぶん   川島結佳子

  • 投稿日:2017年07月01日
  • カテゴリー:短歌

0701tanka

たぶん   川島結佳子

青春は気味悪くあり錆びついた傘差し向かう同窓会へ

女だが女装してゆく鉄黒のタイツ私の脚細く見せ

おばあさんがおばあさんに席譲るとき進んで都電荒川線は

手すりにも掴まらず立つおばあさんの体重支えるくるぶしの骨

国芳の絵「人かたまつて人になる」いちご串香るアルタの前で

ドライフラワーなのか私は出会う人出会う人皆「変わらない」と言い

蜘蛛ならば巣を張る隅を陣取った私にも生ビールは注がれ

「つまんない女だ」君と私とで笑う私のつまらなさなど

郷愁に酒に酔えない私には夜の雷雨が付き纏いゆく

膝に痣残したままで雪みたく忘れてゆける私だ たぶん

川島結佳子
1986年生まれ 東京都出身 短歌結社「歌林の会」所属 第五十八回短歌研究新人賞次席

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