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初恋   染野太朗

  • 投稿日:2018年08月04日
  • カテゴリー:短歌

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初恋   染野太朗

ひとの幸せを願へぬといふ罰ありきメロンパン口に乾きやまずき
くるしみを求めてたんだみづたまりに雨降るかぎり死ぬ水紋の
    *
きみがぼくに搬んだそれは夏だつた抱へたらもう海に出てゐた
海の色をあをとしか思へぬことのきみをしおもふ気持ちにも似て
花柄のかばんを肩に掛けなほしきみが行かうとつぶやけば行く
聞きづらいときは顔寄せてくれることも灯台ののやうで近づく
きみと来て食堂〈煮魚少年〉の味噌煮の鯖を箸にくづしつ
煮魚を食べつつきみともだすれどちよつと目の合ふ一瞬はある
よろこびがよろこびのまま夏の陽のやうだよぼくは汗をよろこぶ
これもきつと最後の恋ぢやないけれど海風、奪へいつさいの声

〈略歴〉
一九七七年茨城県生まれ。福岡市在住。「まひる野」「太朗」所属。
第一歌集『あの日の海』(本阿弥書店、二〇一一年)にて第十八回日本歌人クラブ新人賞受賞。
第二歌集『人魚』(角川書店、二〇一六年)にて第四十八回福岡市文学賞短歌部門受賞。

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