涅槃雪    笹川諒

  • 投稿日:2019年05月04日
  • カテゴリー:短歌

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涅槃雪    笹川諒

鳥の声が一瞬あなたの声に似てカーペンターズを今日は選んだ
街角に閉じ込められた街に降る雪はこころの木箱で受けて
「いつかお前と生死を賭けて戦う」と言ってたクラスメイトがいたな
処世術ではなくラスク二袋が似合う気がして買ってしまった
アコーディオンの音が流れる駅前で足りてないことばかりを思う
いい感じに仲良くしたいよれよれのトートバッグに鮫を飼うひと
何周も一緒に池を回ったら好きな季節をちょうど訊かれた
やがて言葉は届くだろうか蛇口から水は刀のように眩しく
きらきらのラスク美味しいこの夜のあなたは作り物ではないね
涅槃雪 許していたいひとがいてその名前から許しはじめる

笹川 諒(ささがわ りょう)
短歌人会所属。ネットプリント『MITASASA』を発行中。

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