除染日和    森川雅美

  • 投稿日:2019年06月01日
  • カテゴリー:短歌

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除染日和    森川雅美

途切れない夜の波音追うように行方不明の声が聞こえる
凪ぐ海はどこまでも澄み教室に残った時を刻まぬ時計
砂浜に遊ぶ子供の絵が残る津波のあとの学校の壁に
魂に重さはあるというけれど帰らぬ人のましろい足裏
まだ生きている人たちがいたのだと指差す先に草が繁茂す
午後六時国道線に渋滞す除染作業の帰宅トラック
立入りを禁止されたる山間の墓地の御堂に残る骨壺
大波に皆流されし干拓地に除染中の幟はためく
海神わたつみを綿津見と書く飯館の神社万葉仮名も被曝す
平成二十三年三月十一日歿関つぐみ童女十三

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