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水仙の水のなかへ数多の数のなかへ行為して君と行くこと 中家菜津子

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水仙の水のなかへ数多の数のなかへ行為して君と行くこと   中家菜津子

生まれた町の南の岬には
もう煙を儚くなった煙突のように
照射灯が建つ
自らを水の中へ
倒してしまいたい顔をしているのに
根を深く張った冬枯れの樹のように
照射灯は建つ
誰かの墓標に憧れながら

その誤字の美しさには正しさのかなわないこと冬の砂浜

墓標へとつづく渚の道に
白い水仙が群がって揺れている
砂地は脆く乾いて
海風は裂くように吹くから
葉は末枯れ
水という水を
咲くことにあつめている苦しげな性を
燃やせばいいのか
見つめている僅かな間に
枯らしつくすためには

つれてって先に逝くのはゆるさない雪と花とが見分けられない

墓碑銘の文字は風化して
砂浜の一粒
名づけられた数多の意味は
ただ砂の数へと還っていく
息を深く吸うと深閑とした肺に
砂まじりの海鳴りが届いて傷つき
うちがわから崩れてゆくからだを
透明な魚の群れが
明るい顔をつくって泳いでいるのに
打ち捨てられたボートには
影だけが乗り抱きあっている

死にたがる君には先に果てることゆるしてあげる蟹の泡ぶく

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