「花瓶には星を蒐めるゆっくりとまぶたを下ろし息をつづけて」 亜久津歩

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【連載 第3回】 詩歌トライアスロン

「花瓶には星を蒐めるゆっくりとまぶたを下ろし息をつづけて」
                                      亜久津歩

水槽の音をみる寝室はオリオンと精肉の冷暗所
花瓶には一輪の薬指 ささやかな淵をさし

失った日の木漏れ陽をまた浴びるためにと溺れるように
星を蒐める銀幕だけが抱きしめてきた遠浅の闇

ねえ、満ちひきは寂しいですか 満ちかけよりも痛いでしょうか
ゆっくりと ゆっくりと明けていく

こういう夜をもうながいこと忘れていたよ
まぶたを下ろし眺める街に滲む灯りは

息を続ける いきをつづける
あなたには冬の菫でいてほしい

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