島    サラ・ティリコウ(翻訳 マキ・スターフィールド)

無題

島    サラ・ティリコウ(翻訳 マキ・スターフィールド)


窓をあけなさい
ほら、
島が見えるわ


無人島だと
言われているけれど
ほら
どの島も
わたしたちを呼ぶ
声が聞こえるわ


あなたが沈むにつれて
水が逃げていく
時間の深さ
の表面で
同じ海に二度
あなたが入れない
いや同じ島に二度
あなたが入れない
泡の上で


アモルゴス島
不思議な
真紅の
ガトソスの
ヴェルヌの
ブルガーコフの
愛の
芸術の地図上で
どんなにそれらは神秘的にきらきら輝いていることか


わたしの側に時間がある
わたしの側に神がいる
―確かに
あなたは優しくわたしを許した。
あなたは島にいる、愛しい人!


わたしたちは行くだろう、
あなたは約束した、
必ず島に
わたしたちは行くだろう、わたしは賛成した
―もしわたしたちがまだそこにいないのなら


ハート以上の言葉を
あなたが好きなのはわかっているわ
でも、ハートは
一つの言葉でもあるわ
言葉は
島そのもの
いらっしゃい


とかげの同意
石のとかげ
ストレッチング
他にどのようにして?
島で
―他にどこで?
いつでも他に?


バラとざくろ
ビーチで食べたいちじく
月が出る時
太陽は沈む
星は待機し、
わたしたちはそこにいる
島で
抱きあい 身震いしながら、
どれほど強く感じたか、神よ
このような楽園に耐え忍んでいる

10
ほとんど何マイルもない、ほとんどガスもない
島の半分は道路がない
別の島を
最後まで見せて欲しいと
あなたに懇願した
それは水の中に隠され
最後まで、わたしたちの中に隠されている

サラ・ティリコウ(Sarah Thilykou)
ギリシャのテッサロニキに生まれ、同地で神学、演劇、音楽を学び、ユトレヒトとパリでさらに研究を行う。
神学の修士号を取得、博士号を準備中。 彼女はプロの女優および歌手として活動し、現在はアテネの中等教育で教えている。
彼女は詩、エッセイ、翻訳を、自身が編集委員を務めるPoeticanet(www.poeticanet.com)を含む、国内外の媒体で積極的に発表している。
最近、第一詩集『The World in Three Acts』を出版した。

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