島 サラ・ティリコウ(翻訳 マキ・スターフィールド)
1
窓をあけなさい
ほら、
島が見えるわ
2
無人島だと
言われているけれど
ほら
どの島も
わたしたちを呼ぶ
声が聞こえるわ
3
あなたが沈むにつれて
水が逃げていく
時間の深さ
の表面で
同じ海に二度
あなたが入れない
いや同じ島に二度
あなたが入れない
泡の上で
4
アモルゴス島
不思議な
真紅の
ガトソスの
ヴェルヌの
ブルガーコフの
愛の
芸術の地図上で
どんなにそれらは神秘的にきらきら輝いていることか
5
わたしの側に時間がある
わたしの側に神がいる
―確かに
あなたは優しくわたしを許した。
あなたは島にいる、愛しい人!
6
わたしたちは行くだろう、
あなたは約束した、
必ず島に
わたしたちは行くだろう、わたしは賛成した
―もしわたしたちがまだそこにいないのなら
7
ハート以上の言葉を
あなたが好きなのはわかっているわ
でも、ハートは
一つの言葉でもあるわ
言葉は
島そのもの
いらっしゃい
8
とかげの同意
石のとかげ
ストレッチング
他にどのようにして?
島で
―他にどこで?
いつでも他に?
9
バラとざくろ
ビーチで食べたいちじく
月が出る時
太陽は沈む
星は待機し、
わたしたちはそこにいる
島で
抱きあい 身震いしながら、
どれほど強く感じたか、神よ
このような楽園に耐え忍んでいる
10
ほとんど何マイルもない、ほとんどガスもない
島の半分は道路がない
別の島を
最後まで見せて欲しいと
あなたに懇願した
それは水の中に隠され
最後まで、わたしたちの中に隠されている
サラ・ティリコウ(Sarah Thilykou)
ギリシャのテッサロニキに生まれ、同地で神学、演劇、音楽を学び、ユトレヒトとパリでさらに研究を行う。
神学の修士号を取得、博士号を準備中。 彼女はプロの女優および歌手として活動し、現在はアテネの中等教育で教えている。
彼女は詩、エッセイ、翻訳を、自身が編集委員を務めるPoeticanet(www.poeticanet.com)を含む、国内外の媒体で積極的に発表している。
最近、第一詩集『The World in Three Acts』を出版した。