Quadrant    斎藤秀雄

  • 投稿日:2022年02月19日
  • カテゴリー:短歌

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Quadrant    斎藤秀雄

たまかぎるほのかにあぶら匂わせて日をさかり来ぬ虹を殺しに
手におりる氷の鳥の吃水の深さに知りぬわが骨の嵩
ひとつぶの塩ぬちの火の構造のときに此岸にある車輪はも
数字譜のほとりやゆらぐともしびをすうの鱗の魚もじりたり
耳ならぶ個室つめたし空調の風の吹きこむ耳らかわゆし
天空を無音のフォルテたぎつらめ地に雪が黒したたらす午後
くれないに雲居汚れるデパートの機械に孵化のそぶりあるらん
春風は死なるや滝の心臓にはちみつ色の血を抜く穿刺せんし
木の幹にまつわる雨の組紐を木霊の爪の掻き削るべし
たまきわるわがうちのを恋いきたる鉄の蝶らに肉や与えん

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